llms.txt を置くべきかと聞かれて、答えに詰まることがあります。置いたほうがよいという説明と、意味が無いという説明の両方が出てくるためです。
llms.txt は、サイトの概要と主要なページの一覧をMarkdownで書いて置くファイルです。仕様の原典が必須と定めている要素はH1だけです。Google検索はこのファイルを使わないと書く一方で、ChromeのLighthouseには監査項目があります。
この記事では、ファイルの内容と書き方、置き場所、Googleの扱い、置くかどうかを決める基準の順にご紹介します。
llms.txt は、サイトの概要と主要なページの一覧を Markdown(=記号だけで見出しやリンクを書く軽い文書の形式)で書いて置くファイルです。原典は理由を2つ挙げています。人のためのページはナビゲーションや広告やJavaScriptに包まれていて、文字だけに戻すのが難しいことと、サイト全体はAIが一度に読める量(=コンテキストウィンドウ)に収まらないことです。
図1:robots.txt が IETF の標準になっているのとは、成り立ちが違う。
拡大図1:robots.txt が IETF の標準になっているのとは、成り立ちが違う。
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 提案したのは Jeremy Howard さんで、初版が公開されたのは2024年9月3日です。いまの版は2026年8月10日に更新されており、提案そのものにいまも手が入り続けています。
ここで先に押さえておきたいのは、これが検索エンジンの決めた規格ではないという点です。robots.txt は、クローラー(=ページを機械的に読み集めるプログラム)に入ってよい範囲を伝えるファイルで、2022年9月に RFC 9309(=インターネットの技術標準を定める IETF の文書)として標準になりました。これに対して llms.txt は、個人が出した提案です。
仕様の原典が必須と定めているのは、プロジェクト名かサイト名を書いたH1(=Markdownで行頭に # を1つ付けた最上位の見出し)の1行だけです。根拠は、原典に置かれている次の一文です。
図2:H1を1行書いただけのファイルも、仕様には反していない。
拡大図2:H1を1行書いただけのファイルも、仕様には反していない。
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ An H1 with the name of the project or site. This is the only required section
出典:The /llms.txt file(llmstxt.org)(新しいタブで開く) 原典が並べている要素は4つあり、H1のあとに blockquote(=行頭に > を付けた引用の形)の概要、見出しを付けない本文、ページの一覧を置くH2の節が続き、H1のほかはどれも任意です。
原典の書式に沿って、架空の会社のサイトに置く場合の例を1行ずつ示します。左の列を上から順に並べたものが、llms.txt の内容になります。
仕様の原典(llmstxt.org)の書式に沿って作った例。会社名は架空で、URLには例示用のドメインを使った
llms.txt に書く行 役割 # サンプル株式会社 サイト名かプロジェクト名を書くH1(必須) > 中小企業向けの会計ソフトを開発し、販売している会社のサイトです。 サイトの短い概要を書くblockquote(任意) 価格は税抜きで表示しています。 読む側に先に伝えたい補足を書く、見出しの無い本文(任意) ## 製品 ここからページの一覧が始まるH2の節(任意) – [製品の概要](https://example.com/products.md): 機能と対応する業種 リンクは必須で、「:」の後ろの補足は任意 – [料金](https://example.com/pricing.md): プランごとの月額 ページの一覧の2行目 ## Optional 短く読ませるときに飛ばしてよいリンクを置く節 – [会社の沿革](https://example.com/history.md) 補足のリンク
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H2の節にページの一覧を置く場合は、各行を `[name](url)` の形のリンクにすることが求められています。リンクの後ろには、「:」に続けてそのページの補足を書き足せます。原典は、「Optional」という名前のH2を、短く読ませたいときに飛ばしてよい補足のリンクの節として使うのが慣例だと書いています。逆に言えば、H1を1行書いただけのファイルも仕様には反していません。
例のリンク先を .md にしたのは、原典がページのMarkdown版を用意することも勧めているためです。元のページと同じURLに、`page.html.md` のように .md を足すか、`page.md` のように拡張子を .md に置き換えて、同じ内容のMarkdownを返せるようにしておくという案内です。
置き場所はサイト直下に限られるのでしょうか。原典は、そう限っていません。
サイト直下でも、その中の任意のパスでもよく、置いたパスの下のページを対象にすると書かれています。文書の置き場が分かれているサイトなら、`/docs/llms.txt` のように区画ごとに置く形も認められています。
すでに置いてある robots.txt とは、どこが違うのでしょうか。原典は、読まれる時点の違いとして説明しています。
図3:片方を置いたから、もう片方が要らなくなるわけではない。
拡大図3:片方を置いたから、もう片方が要らなくなるわけではない。
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ robots.txt は、入ってよいかどうかをクローラーへ先に伝えるためのものです。これに対して llms.txt は、AIのエージェント(=利用者に代わって調べものや操作をするAIのプログラム)が、利用者を手伝う途中で情報を必要としたときに読むものだと位置づけられています。役割が重なっていないので、片方を置いたからもう片方が要らなくなるという関係にはありません。
sitemap.xml(=サイトのページの一覧を検索エンジンに渡すファイル)との違いも、原典に書かれています。sitemap.xml は人が読むページの一覧なので、AIが読む版へのリンクが並ばず、外部のURLも入らず、AIが一度に読める量を超えることが多いという説明です。AIのクローラーを止めたいときに書くのは llms.txt ではなく robots.txt で、クローラーごとの書き方は テクニカルSEOの記事 にまとめています。
Google検索は、llms.txt を読んでいるのでしょうか。使っておらず、置いても置かなくても検索での表示や順位は変わらないと、検索セントラルのガイドに書かれています。2026年5月15日に公開された「Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド」に、同じ年の6月15日、この点の注記が足されました。
It's completely fine if you decide to create and maintain LLMS.txt files (or other similar files) for other services or systems that use these files. Doing so will neither harm nor help your site's visibility or rankings in Google Search, as Google Search ignores them.
出典:Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド(Google 検索セントラル)(新しいタブで開く) ほかのサービスのために置くのは構わないが、Google検索はこのファイルを無視するので、表示にも順位にも良い影響も悪い影響も無い、という意味です。同じガイドは、llms.txt のようなAI向けのテキストファイルを作ることを、Google検索では気にしなくてよい手法の例にも挙げています。
Google 検索セントラルの3ページを2026年9月18日に開いて確かめた
ページ llms.txt の記述 Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド Google 検索は使わず、無視すると明記 AI 機能とウェブサイト llms.txt の語は無い。AI テキスト ファイルを作る必要は無いと明記 robots.txt の概要 無い
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「AI 機能とウェブサイト」には llms.txt という語は出てきませんが、AI機能に出るために作る必要の無いものとして、AI テキスト ファイルを挙げています。
AI機能に出るために、機械が読むための新しいファイルも、AI向けのテキストファイルも、マークアップも作る必要は無いという書き方です。同じページは、AIによる概要や Google AIモードに出るための追加の要件は無く、特別な最適化も要らないとも書いています。
同じGoogleでも、Chromeの側では扱いが違います。Lighthouse(=Chromeに入っている、ページの品質を点検する道具)には「Agentic browsing」(=AIのエージェントがサイトを使う場面の点検)という分類があり、その中に llms.txt を見る項目が入っています。
図4:検索の側は表示と順位の話、Chromeの側はAIのエージェントの話で、対象が違う。
拡大図4:検索の側は表示と順位の話、Chromeの側はAIのエージェントの話で、対象が違う。
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 公式のドキュメントには、ファイルが無いときの扱いが明記されています。
ファイルが返ってこなければ対象外として扱われ、置くこと自体はいまのところ任意だと書かれています。公式のドキュメントが挙げている不合格の条件は、ファイルを取りに行ってサーバーのエラーが返ったときです。置いていないことを理由に評価が下がる作りにはなっていません。
置いた場合に何が良くなるのかについても、説明があります。
このファイルが無いと、サイトの大まかな構造と主要な内容をつかむために、エージェントがサイトを巡回する時間が長くなることがある、という説明です。
検索の側の記述は、Google検索での表示と順位についてのものです。Chromeの側が点検しているのは、利用者に代わってサイトを使うAIのエージェントが、サイトの構造を早くつかめるかどうかです。対象が違うので、2つの記述は食い違っていません。読者にとっては、Google検索の順位のために置く理由は無く、AIのエージェントに自社サイトを使わせる場面を考えるなら、Chromeの説明が置く理由の1つになるということです。
仕様が緩いことは、実物を見ると分かりやすくなります。開発者向けの文書を持つ2社は、それぞれ違う形で置いています。
図5:どちらの作りも、仕様の範囲に収まっている。
拡大図5:どちらの作りも、仕様の範囲に収まっている。
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ AnthropicのファイルはH1が「Anthropic Developer Documentation」で、blockquote がありませんが、仕様では任意なので問題ありません。見出しで Messages や Models & pricing のように章へ分け、その下にページの一覧を並べる作りになっています。
CloudflareのファイルはH1が「Cloudflare Developer Documentation」で、製品ごとに llms.txt を持ち、サイト直下のファイルはその案内役になっています。blockquote には、各製品のファイルに完全な索引が入っていると書かれていました。文書の量が多いサイトが、区画ごとに分ける実例にあたります。
4社の公式ページのうち、llms.txt の扱いを書いていたのはGoogle検索だけです。OpenAI・Perplexity・Anthropic のクローラーの説明は robots.txt での制御を扱っていて、llms.txt を読むとも読まないとも書いていません。
各社の公式ページを2026年9月18日に開いて確かめた
会社 当たった公式ページ llms.txt の扱い Google Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド 使わないと明記 OpenAI Overview of OpenAI Crawlers 記述が無い Perplexity Perplexity Crawlers 記述が無い Anthropic Claude Help Center のクローラーの説明 記述が無い
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OpenAIとPerplexityのページの冒頭には、自社の文書の llms.txt へのリンクがあります。これは自社の文書の案内で、自社のクローラーがほかのサイトの llms.txt を読むかどうかの説明ではありません。置いたことで引用が増えたという実測も、公式にも第三者の公開調査にも見つけられませんでした。
llms.txt を置いても、ページ本体がAIのクローラーに読めるかどうかは変わりません。AIのクローラーが JavaScript で表示する内容まで読むかどうかは、 テクニカルSEOの記事 にまとめています。
置くかどうかは、どう判断すればよいのでしょうか。Google検索での扱いと各社の公式ページの記述をふまえると、次の3つを順に見ていくのがよさそうです。Google検索には効かず、ほかのAIへの効果も実証されていない以上、判断は自社の事情に寄せるほかありません。
図6:無くても監査は落ちないので、点数のために置く理由は弱い。
拡大図6:無くても監査は落ちないので、点数のために置く理由は弱い。
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 自社のサイトは、構造を案内する必要があるほど文書が多いか 置いたあと、内容を更新し続ける手が社内にあるか Lighthouseの結果を上司や関係部署へ報告していて、llms.txt の項目が「対象外」のままかどうかが問われるか 1つめは、文書の多いサイトかどうかです。実際に置いている2社はどちらも開発者向けの文書を大量に持っていて、構造を伝える必要が高い側にあたります。ページ数が少なく、構造が一目で分かるサイトなら、置いても伝わる情報が増えません。
2つめは、更新を続けられるかどうかです。案内のファイルは内容が古くなると役に立たないどころか、消えたページへ誘導する原因になります。置く手間より、更新し続ける手間のほうが問題になりやすいところです。
3つめは、Lighthouseの結果を報告する立場かどうかです。無くても落ちない作りなので、点数のために置く理由は弱いのですが、Web担当者がLighthouseの結果を上司や関係部署へ報告している場合は、llms.txt の項目が「対象外」かどうかを、対応を済ませたかの説明に使えます。
どれにも当てはまらない場合は、Googleが「AI 機能とウェブサイト」で引き続き重要だと挙げているSEOの基本を先に片付けます。robots.txt やCDNでクロールを許可しているか、内部リンクからページを見つけられるか、重要な内容を文字で書いているか、構造化データが画面の文字と一致しているか、といった点です。何から手を付けるかの順序は AIO対策の記事 に、構造化データが効くかどうかは構造化データの記事にまとめています。
必須の要素はH1だけで、blockquoteもページの一覧も任意である 置き場所はサイト直下でなくてもよく、区画ごとに分ける形も認められている Google検索は使わないと明記しているが、ChromeのLighthouseには監査項目がある ファイルが無い場合、Lighthouseの監査は対象外として扱われる OpenAI・Perplexity・Anthropicは、読むかどうかを公式に書いていない 置くかどうかは、文書の多さ、更新を続けられるか、Lighthouseの結果を報告しているかの3つで決める 自社のサイトで置くべきかどうか、また何から手を付けるか迷う場合は、お問い合わせからご相談ください。
llms.txt は必須ですか。 必須ではありません。ChromeのLighthouseの公式ドキュメントには、ファイルが返ってこない場合は対象外として扱い、置くことはいまのところ任意だと書かれています。
llms-full.txt とは何が違いますか。 仕様の原典には llms-full.txt の規定がありません。原典が勧めているのは、各ページのMarkdown版を `page.html.md` の形で用意することです。llms-full.txt は原典に規定の無い名前なので、何を入れるかの決まりもありません。
ファイル名は大文字でもよいですか。 原典は `/llms.txt` という小文字の表記で説明しています。大文字や別の拡張子で置いた場合に読み取られるかどうかは、原典にも各社の公式ドキュメントにも書かれていないので、小文字のままにしておくのが無難です。
置いたら検索順位は上がりますか。 Google検索では上がりません。Google 検索セントラルのガイドが、順位に良い影響も悪い影響も無いと書いています。
いずれも2026年9月18日時点で開いて確かめた
出典 この記事で使った箇所 llmstxt.org「The /llms.txt file」 提案者と公開日、提案の理由、必須の要素、Optional の節、Markdown版、置き場所、robots.txtとsitemap.xmlとの違い Google 検索の生成 AI 機能向けに最適化するための Google のガイド(Google 検索セントラル) Google 検索は llms.txt を使わず無視するという記述 AI 機能とウェブサイト(Google 検索セントラル) AI テキスト ファイルを作る必要は無いという記述、追加の要件が無いという記述、SEOの基本の一覧 robots.txt の概要(Google 検索セントラル) robots.txt の役割、llms.txt の記述が無いこと llms.txt(Chrome for Developers・Lighthouse) 監査の分類、404のときの扱い、置いた場合の説明 Anthropic のファイル H1、blockquoteが無いこと、見出しの分け方 Cloudflare のファイル H1、blockquoteの内容、製品ごとに分ける作り Overview of OpenAI Crawlers(OpenAI) llms.txt の記述が無いこと Perplexity Crawlers(Perplexity) llms.txt の記述が無いこと Claude Help Center のクローラーの説明(Anthropic) llms.txt の記述が無いこと RFC 9309(IETF) robots.txt が標準になった時期
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