会議が終わったあとには、録音を聞き直しながら議事録を整える作業が残ります。Web会議の画面に文字起こしのボタンが並ぶようになり、この作業を自動化する動きが広がりました。
この自動化を指す言葉がAI議事録で、音声を文字にしたうえで、要点の要約と次の作業の抽出までを1つの流れで行います。ただし、出力はそのまま正式な記録にはならず、無料で使える範囲も提供元ごとに違います。
この記事では、AI議事録の定義と機能から、専用ツールと会議サービスに組み込まれた機能の違い、無料の範囲、料金、音声と文章の扱い、注意点までをご紹介します。
AI議事録とは、会議やインタビューの音声を文字に起こし、その文章から要点と次の作業をまとめるところまでを行う仕組みです。1時間の打ち合わせを録音すると、発言の記録に加えて、決まったことと担当ごとの作業が並んだ文章が返ってきます。
図1:段の名前は、提供元の公式ページの機能の説明から取った(2026年9月22日確認)
拡大図1:段の名前は、提供元の公式ページの機能の説明から取った(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 要約と抽出を担うのは生成AI(=文章や要約を自動で作るAI)で、文字起こしだけの道具は発言を並べるところで止まるため、そこから先の整理は人の手に残ります。返ってくるものと、会議のあとに残る作業、そして確かめ方を並べると、両者の違いがはっきりします。
返ってくるものと残る作業の違い。この表は、提供元の公式ページの機能の説明をもとに整理した(2026年9月22日確認)
文字起こしソフト AI議事録 返ってくるもの 発言を書き起こした文章 書き起こした文章と、要点・決定事項・次の作業 会議のあとに残る作業 読み返して要点を抜き出し、議事録の形に整える 生成された要点を読み、事実の誤りを直す 確かめ方 音声と書き起こしを突き合わせる 音声と書き起こしに加えて、要約の記述も突き合わせる
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呼び方は1つに定まっておらず、提供元によって「AI議事録」「AI議事録作成ツール」「会議の要約」と書き分けられていますが、指しているものはほぼ同じなので、以下ではAI議事録と書きます。
AI議事録の機能は大きく5つに分かれ、どこまでを機械が行い、どこから人が確かめるのかは機能ごとに違うので、導入の前に分けて見ておくと運用の手順を決めやすくなります。
図2:機能の並びは提供元の公式ページの説明から取り、確かめる場所はこの記事の整理である(2026年9月22日確認)
拡大図2:機能の並びは提供元の公式ページの説明から取り、確かめる場所はこの記事の整理である(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 機能ごとに、人が確かめる場所が変わる。機能の並びは提供元の公式ページの説明から取った(2026年9月22日確認)
機能 何をするか 人が確かめること 文字起こし 音声を文章に変換する 固有名詞と数値の聞き取りの誤り 話者の識別 誰の発言かを区別して記録する 発言者の取り違え 要約 議題ごとに要点をまとめる 元の発言と食い違っていないか 次の作業の抽出 決まったことと担当・期限を並べる 担当と期限の思い違い 検索と共有 過去の会議の記録を探し、関係者へ渡す 共有してよい範囲
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要約と抽出は手間を減らす反面、元の発言と食い違う場合があり、その食い違いに気づけるのは議論に出ていた人だけです。Microsoft は Copilot のドキュメントで「生成 AI によって生成される応答は、100% 事実であるという保証はありません」と書き、他の人へ送る前に出力を確認する判断が要るとしています。そのため、数値・人名・決まったことの3つは、音声や書き起こしと突き合わせて確かめる作業が残ります。
AI議事録の道具は、単体で契約する専用ツールと、Web会議サービスに組み込まれた機能の2つに分かれ、どちらを選ぶかで契約の形も、使える条件を決める人も変わります。
図3:条件は Google Meet ヘルプの記述から写した(2026年9月22日確認)
拡大図3:条件は Google Meet ヘルプの記述から写した(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 2つの系統の違い。条件はそれぞれの公式ページとドキュメントから取った(2026年9月22日確認)
専用ツール 会議サービスに組み込まれた機能 契約の形 議事録の道具として単体で契約する 会議サービスのライセンスに含まれるか、アドオン(=本体の契約に足して買う追加の権利)で足す 使える条件 提供元のプランに紐づく エディションやライセンスと、管理者の設定に紐づく 設定する人 使う本人が登録して始められる 情報システムの管理者と会議の開催者 例 Notta・Otter.ai・AI議事録取れる君 Google Meet の自動メモ機能・Microsoft Teams の Copilot
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Google Meet の自動メモ機能には、対象となる Google Workspace エディションか Google AI プランの登録が要ります。対応するのは英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語の8言語です。ヘルプは、一度に1つの言語にのみ対応し、複数言語の会議には対応しないと書いています。生成されたメモは主催者のGoogleドライブの「Google Meet」フォルダへ保存され、カレンダーの予定にも添付されます。
Microsoft Teams の会議で Copilot を使うには、アドオンの Microsoft Copilot ライセンスが要ります。開催者は会議ごとに「会議中のみ」「会議中および会議後」「オフ」から選べ、オフにするとレコーディングとトランスクリプト(=会議中の発言を文字にした記録)もオフになります。既定のポリシー値は「オンで、トランスクリプトの保存が必須」で、この値のときは開催者が変更できず、エンドツーエンドの暗号化された会議では使用できないとも書かれています。
無料には2つの種類があり、期間の区切りなく使い続けられる無料プランと、期間を区切った無料トライアルに分かれます。どちらなのかで、試したあとに社内へ残るものが変わるので、比べる前に見分けておくと候補を絞りやすくなります。
図4:Notta フリーは120分/月、Otter.ai Basic は300 monthly transcription minutes と書かれている(2026年9月22日確認)
拡大図4:Notta フリーは120分/月、Otter.ai Basic は300 monthly transcription minutes と書かれている(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 無料の範囲は各社の公式の料金ページから写した。Otter.ai は英語の表記のまま載せている(2026年9月22日確認)
ツール 無料の種類 無料で使える範囲 Notta フリー 無料プラン 文字起こし120分/月。1回につき3分まで Otter.ai Basic 無料プラン 300 monthly transcription minutes。1会話あたり30 minutes AI議事録取れる君 無料トライアル 7日間
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無料プランは月あたりの時間だけでなく1回あたりの長さでも区切られ、Notta のフリーは1回につき3分までなので、30分の打ち合わせを通して残す使い方には向きません。短い会議で操作の感触を見るのであれば無料プランで足りる場合もありますが、通常の会議をそのまま記録する用途では有料のプランが前提になります。
料金は提供元ごとに書き方が違い、税込で書くところと税抜で書くところがあるため、並べるときは公式の表記をそのまま写す必要があります。
図5:金額は各社の公式の料金ページから写し、記載が無いところは記載なしと書いている(2026年9月22日確認)
拡大図5:金額は各社の公式の料金ページから写し、記載が無いところは記載なしと書いている(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 各社の公式の料金ページから写した。列の項目は5行とも同じにそろえ、記載が無いセルは「記載なし」と書いている(2026年9月22日確認)
ツール 月額 税の表記 初期費用 最低の契約期間 無料の試用 Notta プレミアム ¥1,185円/月(12ヶ月分一括払い・総額¥14,220) 表示価格は全て税込価格です 記載なし 記載なし フリープランあり Notta ビジネス ¥2,508円/月(12ヶ月分一括払い・総額¥30,096) 表示価格は全て税込価格です 記載なし 記載なし フリープランあり Otter.ai Pro 8.33ドル/1ユーザー/月(年払い)、16.99ドル/1ユーザー/月(月払い) 記載なし 記載なし 記載なし Basic プランあり AI議事録取れる君 お試しプラン 1,380円(税抜)/1,518円(税込) 税抜と税込の両方 記載なし 月間 7日間 AI議事録取れる君 EnterpriseP-10 5,800円(税抜)/6,380円(税込) 税抜と税込の両方 記載なし 月間 7日間
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Notta の料金ページには「表示価格は全て税込価格です」と書かれている一方、AI議事録取れる君はお試しプランの月額を税抜と税込の両方で並べています。Otter.ai はドル建ての表記で、税に関する記載はページの中に見当たりませんでした。
同じ月額に見えても、税の扱いと支払いの周期が違えば、年間で支払う金額はそろいません。稟議へ書くときは、公式ページの表記をそのまま写し、確かめた日を添える形が確実です。利用できる時間はプランごとに決まっているので、月あたりの会議の本数から先に見積もることになります。
会議の音声には社外へ出せない情報が含まれます。渡した音声と文章の扱いは、提供元が公開しているドキュメントに、学習に使うかどうかという形で書かれています。Microsoft は、Copilot のプライバシーのドキュメントで次のように書いています。
図6:4つとも提供元の公開ドキュメントの記述である(2026年9月22日確認)
拡大図6:4つとも提供元の公開ドキュメントの記述である(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ Microsoft Graph 経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは、Microsoft Copilot で使用されているものを含め、基礎 LLM のトレーニングには使用されません。
出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」(2026年9月22日確認)(新しいタブで開く) Google も、Google Workspace の生成AIについて、同じ趣旨の記述をヘルプに置いています。
お客様のコンテンツが他のお客様のために使用されることはありません。お客様のコンテンツは、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません。
出典:Google Workspace「生成 AI とプライバシー」(2026年9月22日確認)(新しいタブで開く) 学習に使われないことと、どこへ保存されるかは別の話です。Google Meet の自動メモは主催者のドライブへ保存され、Microsoft Copilot とのやり取りは組織のデータとして保存されます。管理者は Microsoft Purview で保持の期間を設定でき、社内で確かめる項目を並べると4つになります。
社内で確かめる4項目。参照先は Microsoft と Google の公開ドキュメントである(2026年9月22日確認)
確かめる項目 何を見るか どこに書いてあるか 保存の場所 音声と文章がどこに残るか 提供元のヘルプの保存先の説明 保存の期間 消す操作を誰ができるか 管理者向けのドキュメント 学習への利用 モデルの学習に使われるかどうか プライバシーのドキュメント 管理者の設定 機能をオンにできる範囲 管理画面のポリシーの説明
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導入したあとにも人の手に残る作業があり、出力の確認と、公式に書かれた条件の2つを押さえておくと、運用を始めてからの手戻りが減ります。とくに要約は、発言の言い回しを変えて組み立てられるので、元の発言と照らす担当を決めておかないと、誤りが残ったまま関係者へ共有されます。
図7:条件は Microsoft Learn の記述から写した(2026年9月22日確認)
拡大図7:条件は Microsoft Learn の記述から写した(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 注意することと確かめ方。条件の出どころは Google と Microsoft の公開ドキュメントである(2026年9月22日確認)
注意すること 何が起きるか 確かめ方 聞き取りの誤り 固有名詞や数値が別の語に置き換わる 音声と書き起こしを突き合わせる 要約の食い違い 発言に無い順位や理由が文に混ざる 要約と元の発言を読み比べる 言語の条件 複数の言語が混ざる会議で結果がそろわない ヘルプの対応言語の記載を見る 会議の長さ 短すぎる会議や長すぎる会議で機能が動かない ヘルプの対象の条件を見る
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言語と長さの条件はヘルプに数値で書かれており、Google Meet の自動メモ機能は一度に1つの言語にのみ対応し、15分から8時間までの会議向けと書かれています。対応する8言語に入っている言語どうしであっても、同じ会議で言語が混ざる場合は対象外になります。聞き取りの誤りは、専門用語や社名の多い会議ほど起こりやすいと考えられるので、用語の登録ができるかどうかも見ておくと直しの手間が減ります。
AI議事録は、会議の音声を文字に起こし、要点と次の作業までをまとめる仕組みです。文字起こしだけの道具と違い、整理の部分まで機械が引き受けますが、事実を確かめる作業は人の側に残ります。
図8:無料の範囲は各社の公式の料金ページから写した(2026年9月22日確認)
拡大図8:無料の範囲は各社の公式の料金ページから写した(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 道具は専用ツールと会議サービスに組み込まれた機能の2つに分かれ、後者は使える条件がエディションやライセンスと管理者の設定に紐づきます。無料プランと無料トライアルも分けて見ると、試したあとに社内へ残るものがはっきりします。対応する言語や会議の長さの条件は更新されることがあるので、契約の前に公式のヘルプで見直すことになります。
料金は税込で書く提供元と税抜で書く提供元があり、同じ月額に見えても年間の支払いはそろいません。社内で比べるときは、公式の料金ページの表記をそのまま写し、確かめた日を添えます。音声と文章を学習に使うかどうかは、Microsoft と Google がそれぞれのドキュメントに書いています。
次に読む記事は知りたいことによって分かれ、要約や抽出を担う仕組みそのものは生成AIとはで説明しています。文章を組み立てているモデルの側はLLMとは、要約の指示の書き方はプロンプト設計の基本が扱っています。
社内のどの会議から始めるかを決めきれない場合は、問い合わせフォームから相談を受け付けています。
AI議事録は無料で使えますか? 無料プランのあるツールがあります。Notta のフリーは文字起こし120分/月で1回につき3分まで、Otter.ai の Basic は300 monthly transcription minutes で1会話あたり30 minutes です。AI議事録取れる君は無料プランではなく、7日間の無料トライアルを用意しています。
AI議事録と文字起こしソフトは何が違いますか? 返ってくるものが違います。文字起こしソフトは発言を書き起こした文章を返し、AI議事録はその文章から要点・決まったこと・次の作業までをまとめます。書き起こしのあとの整理を人が行うか、機械が下書きを作るかの差です。
会議サービスに組み込まれた機能だけで足りますか? 使う会議サービスが1つにまとまっていれば足りる場合があります。ただし Google Meet の自動メモ機能は対象のエディションか Google AI プランの登録が要り、Microsoft Teams の Copilot はアドオンのライセンスが要ります。社外の相手と別の会議サービスを使う機会が多い場合は、専用ツールの検討が要ります。
AI議事録の出力をそのまま正式な記録にしてよいですか? そのままでは使えません。Microsoft は「生成 AI によって生成される応答は、100% 事実であるという保証はありません」と書き、他の人へ送る前に出力を確認する判断が要るとしています。数値・人名・決まったことは、音声と突き合わせる作業が残ります。
会議の音声はAIの学習に使われますか? 提供元のドキュメントで確かめられます。Microsoft は、プロンプトと応答とデータが基礎 LLM のトレーニングには使用されないと書いています。Google Workspace は、許可なくドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもないと書いています。
多言語の会議でもAI議事録を使えますか? 機能によって条件が違います。Google Meet の自動メモ機能は8言語に対応しますが、ヘルプは一度に1つの言語にのみ対応し、複数言語の会議には対応しないと書いています。言語が混ざる会議で使う場合は、対応の範囲を先に確かめることになります。
AI議事録の料金は税込ですか、税抜ですか? 提供元ごとに違います。Notta の料金ページは「表示価格は全て税込価格です」と書き、AI議事録取れる君はお試しプランを1,380円(税抜)と1,518円(税込)の両方で書いています。Otter.ai はドル建てで、税に関する記載は見当たりませんでした。
AI議事録の導入は何から始めればよいですか? 使っている会議サービスの機能が対象かどうかを確かめるところからです。対象であれば追加の契約なしで試せる場合があり、対象でなければ専用ツールの無料プランか無料トライアルで、1回あたりの長さと月あたりの時間を見ます。そのうえで、音声と文章の扱いを社内の決まりと突き合わせます。