自社サイトの問い合わせフォームには、営業時間の外に届いた質問が積み上がります。よくある質問のページを用意しても、読む人が探しきれず、担当者は同じ回答を書き続けます。
画面の右下に置く会話の窓で応答する仕組みがAIチャットボットで、決められた選択肢をたどる自動応答とは答えの作り方が違います。ただし、何を根拠に答えるのか、誤った回答を誰が直すのかは、導入する側が決めます。
この記事では、AIチャットボットの定義と仕組みから、種類の分け方、回答の根拠を自社の資料に置く方式、導入の順序、料金、契約の前に確かめることをご紹介します。
AIチャットボットという言葉は、提供元によって指す範囲が少しずつ違います。Microsoft は、自社の解説のページで次のように書いています。
図1:4つとも提供元の公開ドキュメントの記述である(2026年9月22日確認)
拡大図1:4つとも提供元の公開ドキュメントの記述である(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ AI チャットボットは、人間の会話をエミュレートして理解する、一般的に使用されているソフトウェア アプリケーション
出典:Microsoft「AI チャットボット」(2026年9月22日確認)(新しいタブで開く) 会話の窓そのものは以前からあり、選択肢をたどる形の自動応答も同じ場所で動いてきました。違いは、決められた手順から外れた問いに答えられるかどうかと、答えの文をその場で組み立てるかどうかにあります。
2つの違い。返ってくるものと運用で手を入れる場所を、提供元の公式ページの説明をもとに整理した(2026年9月22日確認)
選択肢をたどる自動応答 AIチャットボット 入力の受け取り方 用意したボタンや選択肢を押してもらう 文章で書かれた質問を受け取る 答えの作り方 分岐の先に登録した文を出す 質問の意味を解釈して応答を組み立てる 手順から外れた問い 用意した分岐に無ければ答えられない 登録した資料の範囲で答えを試みる 運用で手を入れる場所 分岐の設計と、各分岐の文 質問の言い回しの登録と、根拠になる資料
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呼び方も1つに定まっておらず、提供元によって「チャットボット」「AIチャットボット」「AIエージェント」と書き分けられています。指す範囲は製品ごとに違うので、見積もりを取るときは、名前ではなく機能の一覧で確かめることになります。
AIチャットボットは受け取った文をそのまま検索に投げているわけではなく、Microsoft は、自然言語処理(NLP=人の言葉を機械が扱える形に直す技術)で入力を「発話、意図、エンティティに分け」て解析すると説明しています。
図2:段の名前は Microsoft の解説ページと Dialogflow CX のドキュメントの用語から取った(2026年9月22日確認)
拡大図2:段の名前は Microsoft の解説ページと Dialogflow CX のドキュメントの用語から取った(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 会話の流れをどう持つかは、作る側の基盤のドキュメントに用語として書かれています。Google Cloud の Dialogflow CX は、対話を担う本体をエージェントと呼び、会話がいまどこにいるかをページとして持ちます。
Dialogflow CX の基本のドキュメントから写した。実務で手を入れるところの列は、この記事の整理である(2026年9月22日確認)
用語 公式ドキュメントの説明 実務で手を入れるところ エージェント エンドユーザーとの同時会話を処理する仮想エージェント 窓口ごとに作る本体 インテント 1回の会話ターンにおけるエンドユーザーの意図(含意)を分類します 質問の言い回しを登録する場所 フロー トピックと、関連する会話パスを定義するために使用されます 手続きごとの会話の道筋 ページ セッションの状態はページで表されます いま会話がどこにいるかの管理
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用語は基盤ごとに違いますが、質問の意図を分類し、会話の状態を持ちながら次の応答を選ぶという組み立ては共通しています。生成AI(=文章や要約を自動で作るAI)を使う製品では、この分類と状態の管理に、その場で文を作る処理が重なります。
種類の分け方は提供元と媒体で違い、Microsoft は企業向けのAIチャットボットを2つに分け、解説記事の多くは4つに分けています。同じ製品でも、どちらの分け方で説明されるかによって印象が変わります。
図3:上の2つは Microsoft の解説ページの呼び名で、下の4つは解説記事が使う分け方である(2026年9月22日確認)
拡大図3:上の2つは Microsoft の解説ページの呼び名で、下の4つは解説記事が使う分け方である(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 分け方の出どころで呼び名が変わる。Microsoft の説明は原文のまま写した(2026年9月22日確認)
分け方の出どころ 呼び名 説明 Microsoft トランザクション型 一連のルール、NLP、ごく少量の機械学習により機能します Microsoft 会話型 会話型 AI を使用して、ユーザーのメッセージの意味を理解し、人間のように応答 解説記事 ルールベース型・機械学習型・生成AI型・ハイブリッド型 記事が使う4分類。提供元の公式ドキュメントに同じ分け方は見当たらない
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4つに分ける書き方は解説記事で広く使われていますが、提供元の公式ドキュメントに同じ分け方は見当たりませんでした。どちらの分け方でも、決められた手順を外れた問いに答えられるかどうかと、答えの根拠をどこに置くかが、選ぶときの分かれ目になります。
届く質問が定型に寄っている場合は、ルールで組んだ応答のほうが運用しやすいこともあります。逆に、言い回しのばらつきが大きい問い合わせでは、意味を解釈して答える形のほうが取りこぼしが減ります。
誤った回答を減らす手立てとして、答える前に自社の資料を検索し、その記述を根拠にする方式があります。Microsoft は、Azure AI Search のドキュメントで次のように書いています。
図4:方式の説明は Azure AI Search のドキュメントから取った(2026年9月22日確認)
拡大図4:方式の説明は Azure AI Search のドキュメントから取った(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ Retrieval-augmented generation (RAG) は、独自の財産的価値のあるコンテンツの応答を根拠づけることで、LLM 機能を拡張するパターンです。
出典:Microsoft Learn「RAG および生成 AI – Azure AI Search」(2026年9月22日確認)(新しいタブで開く) RAG(検索拡張生成=答える前に自社の資料を検索し、その記述を根拠にする方式)を使うと、モデルが持っている一般的な知識ではなく、自社の資料の記述から答えを組み立てられます。同じドキュメントは、この方式で向き合うことになる課題を5つ挙げています。
RAG の課題5つ。左の2列は Azure AI Search のドキュメントから、右の列はこの記事の整理である(2026年9月22日確認)
課題 ドキュメントの説明 自社で決めること クエリの理解 複雑、会話的、あいまいな質問が来る 言い回しのばらつきをどこまで拾うか マルチソース データ アクセス 資料が複数の置き場にまたがる どの置き場を対象にするか トークン制約 モデルが受け取れる入力に限りがある 何を渡し、何を渡さないか 応答時間の期待値 数分ではなく数秒で答えが求められる どこまで探して打ち切るか セキュリティとガバナンス 承認されたコンテンツだけを取得する必要がある 誰にどの資料を見せるか
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根拠を自社の資料に置いても、出力をそのまま公開してよいことにはなりません。Microsoft は「生成 AI によって生成される応答は、100% 事実であるという保証はありません」と書き、他の人へ送る前に出力を確認する判断が要るとしています。料金や在庫のように誤りの影響が大きい項目は、チャットボットに答えさせず、該当のページへ案内する組み方も取れます。
導入は、目的を決めるところから記録を見て直すところまでの6段で進みます。順番を入れ替えると、答えの根拠になる資料が無いまま公開する形になりやすく、公開したあとの手直しが増えます。
図5:左の列は Azure AI Search のドキュメントの見出しで、右の列はこの記事の整理である(2026年9月22日確認)
拡大図5:左の列は Azure AI Search のドキュメントの見出しで、右の列はこの記事の整理である(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 目的と指標を決めます。届いた問い合わせのうち、どこまでを自動で終わらせるのかを担当部署の責任者が決めます 対応する範囲を絞ります。よく届く質問から順に並べ、最初に載せる範囲を運用の担当者が決めます 回答の根拠になる資料を整えます。よくある質問と手順書の記述を、内容を持つ部署が最新の形に直します チャネルへ接続します。自社サイトや社内の業務システムのどこに窓を置くかを、Webの担当者が決めます 人へ引き継ぐ形を決めます。答えられない問いが来たときの引き継ぎ先と、受け付ける時間を決めます 記録を見て直します。答えられなかった質問を月ごとに読み、資料と応答を運用の担当者が直します 6段のうち時間がかかるのは資料を整える段で、答えの根拠になる記述が社内の複数の置き場に分かれている場合は、公開の前に1つへまとめる作業が入ります。ここを飛ばすと、応答の質の問題に見えるものが、実際には資料の不足だったという形になりやすくなります。
料金の書き方は提供元ごとに違い、席数で課金する形と、解決した件数で課金する形があります。
図6:6段の並びはこの記事の整理で、資料の整備の段に時間がかかる(2026年9月22日確認)
拡大図6:6段の並びはこの記事の整理で、資料の整備の段に時間がかかる(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 各社の公式の料金ページから写した。列の項目は5行とも同じにそろえ、記載が無いセルは「記載なし」と書いている(2026年9月22日確認)
ツール 月額 税の表記 初期費用 最低の契約期間 無料の試用 チャットプラス ミニマム 年契約1,500円/月、月契約1,980円/月 金額は全て税抜価格です 0円 記載なし 10日間 Tayori プロフェッショナルプラン ¥11,980/月 税抜 無料 記載なし 14日間 Tayori エンタープライズプラン ¥25,400/月 税抜 ¥50,000 年間契約 記載なし Zendesk Suite Team $55/エージェント/月(年払い) 記載なし 記載なし 記載なし 14日間 HubSpot チャットボット作成ツール 無料 記載なし 記載なし 記載なし 無料で使える
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Tayori はプランによってAIチャットボットを使えるかどうかが変わり、¥3,800(税抜)のスタータープランでは使えません。Zendesk はAIエージェントの課金を席数と分けており、自動解決ごとの従量課金で、エスカレーションされた場合は料金が発生しないと書いています。
公式ページに料金を載せていない提供元もあり、その場合は見積もりを取ることになります。初期費用と最低の契約期間を同じ質問の形でそろえて聞くと、社内で並べて比べられる形で返ってきます。
契約の前に社内で確かめることは5つあり、どれも見落とすと公開したあとに手が止まります。とくにデータの扱いと運用する人の2つは、部署をまたいで決める必要があります。
図7:金額は各社の公式の料金ページから写し、記載が無いところは記載なしと書いている(2026年9月22日確認)
拡大図7:金額は各社の公式の料金ページから写し、記載が無いところは記載なしと書いている(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 契約の前に確かめる5項目。データの扱いの参照先は、提供元が公開しているドキュメントである(2026年9月22日確認)
確かめること 何を見るか 誰が決めるか 対応の範囲 どの質問まで自動で終わらせるか 担当部署の責任者 資料の整備 根拠になる記述が最新かどうか 内容を持つ部署 人への引き継ぎ 答えられない問いをどこへ渡すか 問い合わせの窓口 データの扱い 入力した内容の保存と学習への利用 情報システムと法務 運用する人 記録を読み、応答を直す担当 運用の担当者
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データの扱いは、提供元が公開しているドキュメントに書かれています。Microsoft は Copilot について、Microsoft Graph 経由でアクセスされるプロンプト、応答、データが基礎 LLM のトレーニングには使用されないと書いています。自社が使う製品でも、同じ項目がどこに書かれているかを先に押さえておくと、社内の審査が早く済むと考えられます。
AIチャットボットは、Microsoft の言葉では人間の会話をエミュレートして理解するソフトウェアで、文章で書かれた質問の意味を解釈して応答します。選択肢をたどる自動応答との違いは、手順から外れた問いに答えられるかどうかと、答えの文をその場で組み立てるかどうかにあります。
図8:4つとも各社の公式の料金ページの記述である(2026年9月22日確認)
拡大図8:4つとも各社の公式の料金ページの記述である(2026年9月22日確認)
閉じる 出所:GMO AI検索ラボ 種類の分け方は提供元と媒体で違い、Microsoft は2つに分け、解説記事の多くは4つに分けています。分け方そのものより、決められた手順を外れた問いに答えられるかと、答えの根拠をどこに置くかを見るほうが、選ぶときの助けになります。
根拠を自社の資料に置く方式がRAGで、資料の整備と権限の設計が運用の中心になります。料金は席数で課金する形と解決した件数で課金する形があり、税の表記も提供元ごとに違うので、公式の料金ページの表記をそのまま写して比べることになります。
次に読む記事は知りたいことによって分かれ、根拠を検索して答える方式そのものはRAGとはで説明しています。応答を組み立てているモデルの側はLLMとは、人の指示なしに手順を進めるAIはAIエージェントとはが扱っています。
自社の問い合わせのどこから自動化するかを決めきれない場合は、問い合わせフォームから相談を受け付けています。
AIチャットボットとチャットボットは違いますか? 呼び分けは提供元によって違います。選択肢をたどる形の自動応答もチャットボットと呼ばれてきました。AIチャットボットは、文章で書かれた質問の意味を解釈して応答する点が違い、Microsoft は「人間の会話をエミュレートして理解する、一般的に使用されているソフトウェア アプリケーション」と書いています。
AIチャットボットは無料で使えますか? 無料で使えるものがあります。HubSpot は「HubSpotのチャットボット作成ツールは無料で提供され、クレジットカードの登録も必要ありません。」と書いています。有料の製品にも無料の試用があり、チャットプラスは10日間、Tayori と Zendesk は14日間と公式ページに書かれています。
AIチャットボットの料金はいくらですか? 公式ページに金額を載せている提供元では、チャットプラスのミニマムが年契約で月1,500円(税別)です。Tayori でAIチャットボットが使えるのはプロフェッショナルプランの¥11,980(税抜)から、Zendesk の Suite Team は $55/エージェント(年払い)です。料金を公開していない提供元もあり、その場合は見積もりを取ることになります。
AIチャットボットは間違った回答をしますか? 誤った回答が出る場合があります。Microsoft は「生成 AI によって生成される応答は、100% 事実であるという保証はありません」と書き、他の人へ送る前に出力を確認する判断が要るとしています。誤りの影響が大きい項目は、チャットボットに答えさせず、該当のページへ案内する組み方も取れます。
AIチャットボットの導入にプログラミングは必要ですか? 製品によって違います。画面から質問と回答を登録して公開できる製品がある一方、社内システムとデータをやり取りする場合や、会話の分岐を細かく作る場合は、設定を担当する技術者が要ります。見積もりを取るときは、自社で持つ作業と提供元へ任せる作業を分けて聞くことになります。
入力した内容はAIの学習に使われますか? 提供元のドキュメントで確かめられます。Microsoft は Copilot について、Microsoft Graph 経由でアクセスされるプロンプト、応答、データが基礎 LLM のトレーニングには使用されないと書いています。製品ごとに扱いが違うので、契約の前に同じ項目を確かめることになります。
AIチャットボットと有人対応はどう使い分けますか? 答えられない問いが来たときの引き継ぎ先を先に決めます。よく届く定型の質問をAIチャットボットが受け、判断が要る問い合わせと苦情は人が受ける形が取れます。引き継ぐ時間帯と、引き継いだあとに会話の記録をどう渡すかも、公開の前に決めておきます。
AIチャットボットの効果はどう測りますか? 公開の前に数え方を決めておきます。届いた問い合わせのうち自動で終わった件数と、人へ引き継いだ件数を分けて数える形が取れます。Zendesk のようにAIエージェントの課金を自動解決の件数に紐づけている提供元もあるので、課金の単位と社内の指標をそろえておくと比べやすくなります。