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GLOSSARY

順位相関(スピアマンの順位相関係数)

そのものではなく、順位どうしの結びつきの強さを見る指標。-1から+1までの値をとり、外れ値に振り回されにくいのが特徴です。

じゅんいそうかん6分で読めます

順位相関とは、2つの量を順位に置き換えてから、その順位どうしの結びつきの強さを測る指標です。スピアマンの順位相関係数がよく使われ、値は-1から+1までの範囲をとります。AI検索の引用データのように、上位に大きく偏った分布を扱うときに向いています。この項では、ピアソンの相関係数との違い、計算の考え方、そして引用データで使うときの注意点を整理します。

順位相関とは何か

相関係数は、2つの量が一緒に動いているかどうかを1つの数字で表したものです。よく使われるピアソンの相関係数は、値そのものを使って直線的な関係の強さを測ります。これに対して順位相関は、まず値を大きい順に並べて順位を振り、そのあとで順位どうしの相関を見ます。スピアマンの順位相関係数は、この「順位に直してからピアソンの相関係数を計算したもの」として定義されます。

順位に直すと、値の間隔の情報は失われます。1位が2位の10倍だったのか1.1倍だったのかは、順位からは分かりません。そのかわり、極端に大きな値が結果を支配することもなくなります。何を捨てて何を残しているのかを理解したうえで選ぶと、使いどころを間違えません。

ピアソンの相関係数との違い

2つの相関係数の使い分け。同じデータでも、値が大きく違うことがあります。

観点ピアソンの相関係数スピアマンの順位相関係数
使う情報値そのもの値を並べ替えた順位
捉える関係直線的な関係単調な関係(一方が増えれば他方も増える/減る)
外れ値の影響大きい小さい
向くデータ左右に散らばりのある分布上位に偏った分布、順位そのものが意味を持つデータ
値の範囲-1から+1-1から+1

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「単調な関係」という言い方が分かりにくいので補います。ピアソンの相関係数が高くなるのは、2つの量が直線に近い形で並んでいるときです。曲がった関係だと、一貫して増えていても値は下がります。順位相関は、増え方が直線でなくても、一方が増えたときにもう一方が必ず増えていれば+1になります。「どういう形で増えるか」ではなく「増える向きが一致しているか」を見ている、と考えると分かりやすくなります。

計算の考え方

手順は3段です。まず、2つの量それぞれについて順位を振ります。次に、その順位を使ってピアソンの相関係数を計算します。以上です。同じ値が複数ある場合(=タイ)は、その順位の平均を全員に割り当てます。3位から5位が同じ値なら、3人とも4位として扱う、という具合です。

BigQueryで計算する場合は、この手順をそのまま書けます。RANK()(=ナンバリング関数)で順位の列を作り、その2列を CORR()(=統計集計関数のひとつで、ピアソンの相関係数を返す)に渡します。ただし RANK() はタイに同じ順位を与えたあと、その次の順位を飛ばす仕様です。タイが多いデータでは、平均順位を使う方式と結果がずれます。PythonのSciPy(=科学計算のライブラリ)にある scipy.stats.spearmanr や、Rの cor(method="spearman") は平均順位を使うため、結果を突き合わせるときは方式をそろえてください。

AI検索の計測での使いどころ

引用回数の分布は、上位のごく少数に大きく偏ります。この形のデータで平均や直線的な相関を見ると、上位1件の動きが結果のほとんどを説明してしまい、下位の大多数がどう動いたかは数字に現れません。順位に直せば、上位1件も1つの順位として扱われるため、全体としてどうだったかを比べられます。

  • 期間どうしを比べる:前半と後半で、引用の多いドメイン名の並び順がどれだけ変わったかを1つの数字にできます。
  • モデルどうしを比べる:同じ質問に対して、2つのAIが似た並びで引用しているかを見られます。
  • 別の指標と突き合わせる:引用回数の順位と、検索の順位や被リンク数の順位が一緒に動いているかを見られます。
  • 外れ値に振り回されない:極端に引用の多い1件があっても、その1件が結果を支配することはありません。

いずれの使い方でも、出てくるのは「並び順がどれだけ似ているか」までです。似ていた理由も、片方を動かせばもう片方が動くかどうかも、この数字からは分かりません。相関の数字を出したら、必ずその横に「これは相関であって、原因と結果の関係ではありません」と添えます。

よくある誤解・注意点

順位相関で最初に確かめるべきは、比べている2つの並びの件数です。件数が少ないと、係数はわずかな入れ替わりで大きく動きます。5件や10件で出した数字は、たまたまその並びだったという説明を否定できません。件数は必ず併記し、少ないときは数字を出すこと自体を見送る判断も要ります。

  • 件数を必ず書きます:件数のない相関係数は読めません。
  • 0に近い値を「関係がない」と読み替えません:単調でない関係は、順位相関では0に近くなります。
  • 因果を語りません:順位が一緒に動いていることと、片方が原因であることは別です。
  • タイの扱いを明記します:計算に使った道具と方式を残します。
  • 比べる対象をそろえます:期間・モデル・質問の集合が違うものの順位を並べても、意味のある比較になりません。

実務の進め方

  1. 比べたい2つの量と、その並びの単位(ドメイン名・質問・期間など)を決めます。
  2. 両方に共通して現れる対象だけに絞ります。片方だけに現れる対象を0として混ぜると、結果が大きく動きます。
  3. それぞれに順位を振ります。タイの扱いを先に決めておきます。
  4. 順位どうしの相関係数を計算し、件数と一緒に記録します。
  5. 散布図(=2つの量を点で並べた図)作り、数字と形の両方を見ます。数字だけでは、外れた点の存在に気づけません。
  6. レポートには、係数・件数・期間・計算方式・相関であって因果ではない旨を並べて書きます。

ピアソンと順位相関のどちらを使えばよいですか。

扱うデータの形で決めます。値の間隔に意味があり、極端な値が少ないならピアソンです。引用回数のように上位へ大きく偏っている場合や、そもそも順位でしか手に入らないデータなら順位相関を使います。両方出して差を見るのも有効です。

係数がいくつなら「強い」と言えますか。

一律の基準はありません。分野や件数によって、同じ値の意味が変わります。強い弱いを言い切るより、件数と一緒に数字をそのまま示し、散布図を添えるほうが読み手に伝わります。

同じデータなのに、道具によって値が違います。

タイ(同じ値が複数あること)の扱いが違う可能性が高いです。BigQueryの RANK() は同順位のあとの順位を飛ばし、SciPyやRのスピアマンは平均順位を使います。方式をそろえて計算し直してください。

係数が0に近ければ、2つは無関係ですか。

そうとは限りません。順位相関が捉えるのは、一方が増えれば他方も一貫して増える(または減る)という関係です。途中で向きが変わる関係は0に近くなります。散布図で形を確かめてから判断してください。

関連する出典

この記事の根拠にした一次情報(=発表元がみずから出している資料)です。

  1. SciPy: scipy.stats.spearmanr(スピアマンの順位相関係数)(新しいタブで開く)https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.stats.spearmanr.html
  2. SciPy: scipy.stats.kendalltau(ケンドールの順位相関係数)(新しいタブで開く)https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.stats.kendalltau.html
  3. R: stats::cor(method="spearman" の指定)(新しいタブで開く)https://stat.ethz.ch/R-manual/R-devel/library/stats/html/cor.html
  4. Google Cloud: BigQuery 統計集計関数(CORR)(新しいタブで開く)https://cloud.google.com/bigquery/docs/reference/standard-sql/statistical_aggregate_functions
  5. Google Cloud: BigQuery ナンバリング関数(RANK)(新しいタブで開く)https://cloud.google.com/bigquery/docs/reference/standard-sql/numbering_functions

関連用語

定点観測

ていてんかんそく

同じ質問を、同じ条件で、同じ間隔で送り続けて記録する調べ方。1回の実測では分からない変化を、時間の軸で捉えます。

引用率

いんようりつ

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シェア・オブ・ボイス

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可視性(visibility)

かしせい

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いんぷれっしょん

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えーあいけんさくのりようじったい

消費者がAI検索をどれだけ・どのように使っているかを測る調査観点。当ラボの消費者調査シリーズの柱で、独自の一次データを受ける枠。

登録ドメイン(registered domain)

とうろくどめいん

ホスト名を「実際に登録できる単位」まで刈り込んだ形。www.example.co.jp を example.co.jp に寄せることで、引用をサイト単位で数えられます。

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