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GLOSSARY

LLM(大規模言語モデル)

大量の文章で学習し、次に来る語を確率で予測して文章を作るAI。AI検索の心臓部。

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LLM(大規模言語モデル)とは、大量の文章で学習し、「次に来る語」を確率で予測しながら文章を1語ずつ作るAIです。ChatGPT・Claude・Gemini などの生成AIの中身であり、AI検索の回答文を実際に書いているのがこのLLMです。当ラボの研究対象である「AIに引用されるための最適化」は、突き詰めればこのLLMが何を根拠に、どの情報源を選んで答えを組み立てるかを扱う話であり、LLMの仕組みを理解することがすべての出発点になります。

LLMとは(正確な定義)

LLM は Large Language Model の頭文字で、日本語では「大規模言語モデル」と訳します。3つの語に分けると本質が見えます。Large(大規模)=学習に使うテキスト量と、モデル内部の調整可能な数値(パラメータ=学習で決まる重み。数十億〜数千億個規模)がともに巨大であること。Language(言語)=扱う対象が自然言語(=人間が日常で使う言葉)であること。Model(モデル)=現実の何かを数式で近似的に再現した仕組みであること。つまりLLMは、膨大な文章から言葉の並び方の規則性を学び取り、それを数式として保持した「言葉の予測装置」です。

LLMの根っこにある動作は、驚くほど単純です。「これまでの(コンテキスト=文脈)を見て、次に来る1語を確率で当てる」——これだけです。「日本の首都は」まで与えられれば、「東京」が最も高い確率になるよう学習されており、それを出力します。次に「東京。」まで含めて、また次の語を予測します。この「次の語予測」を何万回も繰り返すことで、一見すると知的に見える長い文章が生成されます。答えを検索してくるのでも、正誤を判定するのでもなく、統計的にありそうな続きを積み上げているにすぎない、という点がLLMを理解する最重要のポイントです。

この「次の語予測」を、人間が正解ラベルを一つひとつ付けなくても学べるのが、LLMが大規模化できた理由です。Web上の文章そのものが「前の語→次の語」という正解ペアを無数に含んでいるため、テキストさえ大量に与えれば、モデルは自動的に言葉のつながりを学習していきます(自己教師あり学習=データ自身が正解を兼ねる学習方式)。ラベル付けの人手コストが要らないぶん、学習量を桁違いに増やせ、その結果として文法・語彙・世界知識・簡単な推論までを、明示的に教えられないまま獲得していきます。

なぜ重要か(AI検索での位置づけ)

AI検索対策(AIO=AI Optimization。AIに引用・参照されるための最適化)を考えるうえで、LLMの理解は避けて通れません。なぜなら、AI検索の回答文を最終的に書いているのは検索エンジンでもデータベースでもなく、このLLMだからです。ユーザーが問いを入力すると、AI検索はWebから関連文書を集め(retrieval=情報取得)、その文書をLLMに渡して、要約と回答文の生成を任せます。このとき「どの情報源を根拠として引用するか」「どの一文を抜き出して答えに使うか」を選んでいるのがLLMです。つまり自社が引用されるかどうかは、LLMにとって「引用しやすい・信頼できる情報」に見えるかにかかっています。

LLMが「次の語を確率で予測する」仕組みであることは、AIO対策の具体的な打ち手に直結します。第一に、LLMは学習時点までの知識しか内部に持たないため、最新情報や自社固有の情報は外部から与えないと答えられません。これがRAG(検索拡張生成=外部文書を取り込んでから答えを作る手法)が必要になる理由であり、逆にいえば「AIが取り込みやすい形で情報を出しておく」ことが露出の前提になります。第二に、LLMは確率で言葉を積むため、根拠が薄い問いには誤った断定(ハルシネーション)をしやすいです。だからこそ、出典を明示し一次情報を構造化して置くことが、AIに正しく引用してもらうための実務対策になります。

もう一段踏み込むと、LLMが答えの根拠を選ぶ挙動は「結論を先に言い切っているか」「数値や固有名詞が明示されているか」「一文が独立して抜き出せるか」に敏感です。LLMは文章を細かい単位(トークン)に分けて処理し、抜き出しやすいまとまりを回答に組み込みます。回りくどい前置きの後にようやく結論が来る文章より、冒頭で結論と根拠を提示する文章のほうが、LLMにとって引用しやすいです。これは従来のSEO(検索エンジン最適化)とは異なる、LLMの生成特性に根ざした新しい書き方の原則であり、当ラボが「引用される記事」の条件として研究している中心テーマです。

仕組み(トークン化・学習・推論の3段)

LLMの動作は、大きく「トークン化」「学習」「推論」の3段に分けて捉えると整理しやすくなります。それぞれを順に見ていきます。

  • トークン化: 入力された文章を、モデルが扱える最小単位「トークン」(=語や語の一部の断片)に分解します。LLMは文字そのままでなく、トークンの列として文章を処理する
  • 学習(訓練): 大量のテキストで「次のトークンを当てる」練習を繰り返し、外すたびに内部のパラメータ(重み)を少しずつ調整して予測精度を上げていきます。ここで文法・知識・言い回しが数値として刻み込まれる
  • 推論(生成): 学習で固まったモデルに、ユーザーの入力(プロンプト)を与え、次のトークンを1つずつ確率予測して出力します。これを繰り返して回答文を組み立てます。学習は事前に一度、推論は利用のたびに走る

現在の主要なLLMは、Transformer(トランスフォーマー=2017年にGoogleの研究者らが提案した、文中の語どうしの関係を一気に捉えるニューラルネットワークの構造)を土台にしています。Transformerの中核は「アテンション(attention=注意機構)」という仕組みで、文中のどの語が、いま予測しようとしている語にとって重要かに「注意を向ける」ことで、離れた語どうしの関係も捉えられます。「その会社」が文中のどの企業を指すか、といった文脈依存の理解ができるのは、この仕組みのおかげです。この構造が、それ以前の手法より長い文脈を扱えるようにし、LLMの飛躍的な性能向上をもたらしました。

推論の段では、次のトークンの「確率分布」(=どのトークンが何%くらい来そうか、という一覧)が毎回計算されます。ここで、いつも最も確率の高いトークンだけを選ぶと、無難だが単調な文になります。そこで実際には、確率に応じて少しばらつかせて選ぶ調整(temperature=ばらつきの度合いを決める設定値。高いほど多様で、低いほど堅実な出力になる)が入ります。同じ問いを与えても回答の言い回しが毎回わずかに変わるのは、この確率的な選び方が理由です。この「毎回同じとは限らない」性質は、AI検索での引用のされ方を計測するときにも意識すべき点で、当ラボが同じ問いを繰り返し観測して傾向を測るのは、この揺らぎを均すためです。

具体例・主要モデルと規模感

「大規模」がどの程度かを、代表的なモデル系列で押さえておきます。数値は世代や公表状況で変わり、非公表のものも多いため、ここでは「桁感」を掴むための整理にどめます。厳密な最新値は各社の公式情報で確認してください。

主要なLLM系列(開発元と、AI検索での主な現れ方)
モデル系列開発元AI検索での主な現れ方
GPT系列OpenAIChatGPT/ChatGPT search の回答生成の中核
Claude系列AnthropicClaude の回答生成。Web検索・出典引用機能と連携
Gemini系列GoogleGemini/Google検索のAI Overviews・AI Modeの生成基盤
Llama系列Meta公開重み型(自社環境で動かせる)として広く再利用される

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パラメータ数(=学習で決まる内部の重みの個数)は、モデルが大型化するにつれて桁違いに増えてきました。ただし近年の主要な商用モデルについて、各社はパラメータ数を公表していません。学習に使うテキスト量も、書籍・Web・コードなどを合わせて膨大です。ただし「パラメータが多いほど賢い」という単純な関係ではなく、学習データの質と量、学習後の調整(人間の好みに合わせるチューニング)が性能を大きく左右します。近年は、巨大化一辺倒ではなく、小型でも十分な性能を出す効率化の流れも強まっています。AIO対策の観点では、どのモデルが使われるかより、「どのモデルも学習済み知識+外部取得情報で答えを作る」という共通の枠組みのほうが重要です。

  • 学習済み知識: 訓練時点までにモデル内部に取り込まれた一般知識。最新情報や社内固有情報は含まれない
  • カットオフ(knowledge cutoff): 学習データの締め切り時点。これより後の出来事はモデル単体では知らない
  • 外部取得情報: RAGやWeb検索でその場に与えられる、モデルの外にある最新・固有の情報。AIO対策が働きかける対象はここ

誤解・注意点

LLMをめぐっては、実務判断を誤らせる思い込みがいくつもあります。とくに「LLMは検索エンジンだ」「LLMは事実を保存している」「LLMは意味を人間のように理解している」という3つは、AIO対策の設計を歪めやすいので注意が必要です。

また「LLM=ChatGPTなどのサービスそのもの」という理解もずれています。LLMはあくまで文章を生成する中核エンジンで、実際のAI検索サービスは、その周りにWeb検索・出典引用・安全対策・対話管理といった多くの部品を組み合わせて成り立っています。AI検索で自社が引用されるかは、LLM単体の性能だけでなく、この「取得と引用の仕組み」全体との相互作用で決まります。LLMの理解は必要条件ですが、それだけでAI検索の挙動をすべて説明できるわけではない、という距離感を持っておくことが実務では大切です。

実務での扱い方

AI検索対策の担当者が、LLMの理解を実務に落とし込むための手順を、優先度順に整理します。

  1. 前提を押さえる: LLMは「次の語を確率予測する装置」であり、事実の保管庫でも検索エンジンでもない、と全員の共通認識にする
  2. 結論先出しで書く: LLMが抜き出しやすいよう、記事の冒頭に結論と根拠(数値・出典・固有名詞)を置きます。前置きを長くしない
  3. 一次情報を明示する: 出典・データの出どころを本文内に書き、LLMが「信頼できる引用元」と判断しやすくする
  4. 外部取得の前提で設計する: 最新・固有情報はモデル内部にないため、AIが取得しやすい構造(明確な見出し・構造化データ)で公開する
  5. 揺らぎを織り込む: 同じ問いでも回答は毎回わずかに変わります。1回の結果で判断せず、繰り返し観測して傾向で捉える

LLMと生成AIは同じものですか。

ほぼ重なりますが同じではありません。生成AIは文章・画像・音声などを新しく作るAIの総称で、LLMはそのうち「言語(文章)」を扱うモデルを指します。AI検索の回答文を作っているのは、生成AIの中でもLLMです。

LLMはインターネットを見て答えているのですか。

素のLLM単体は、学習した時点までの知識だけで答え、リアルタイムのWebは見ていません。最新情報を答えられるのは、Web検索やRAGでその場に外部情報を与える仕組みが組み合わさっているからです。

なぜLLMは間違ったことを自信満々に言うのですか。

LLMは事実を検証しているのではなく、統計的にありそうな語の続きを生成しているためです。根拠が薄い問いでも、それらしい文を作れてしまいます。これがハルシネーションで、出典明示やRAGが対策になります。

AI検索対策として、LLMのどこを意識すればよいですか。

LLMが「抜き出しやすく・信頼できる」と判断しやすい形を意識します。結論を先に言い切る、数値と出典を明示する、一文を独立して抜き出せるようにする、の3点が実務の起点です。

関連する出典

この記事の根拠にした一次情報(=発表元がみずから出している資料)です。

  1. Large language model(Wikipedia)(新しいタブで開く)https://en.wikipedia.org/wiki/Large_language_model
  2. Text generation(OpenAI Platform docs)(新しいタブで開く)https://platform.openai.com/docs/guides/text-generation
  3. Vaswani et al. (2017) Attention Is All You Need(Transformerの提案論文・arXiv:1706.03762)(新しいタブで開く)https://arxiv.org/abs/1706.03762

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